第47次寿越冬闘争

基 調 提 起 文

 

 2020年は新型コロナウィルス感染症の拡大によって、多くの人が亡くなりました。ご冥福をお祈りし、今も病とたたかっている人たちの回復を願います。

 コロナ感染症は世界中に広がった災害であり、人の命を奪い健康を損ねるだけでなく、社会に生きづらさを広げてしまっている。感染防止のための自粛や制限によって、経済活動は停滞し、企業は人件費カットのためにまず非正規雇用労働者から切り捨てていく。収入を絶たれて、どこに相談したらいいのか窓口がわからないままで、路上へと追いやられた派遣社員は所持金数十円でやっと県が一時受入所として用意した県立武道館を探し当てたが、食事提供はなく「食事は自分で用意してください」と言われる。どうやって用意できるだろうか。生活保護の相談に行くと、寿では簡易宿泊所を勧められるが、簡易宿泊所が無い自治体では集団生活の無料低額宿泊施設への入所を半ば義務付けられる。アパートやホテルなど個室の空きはたくさんあるのに、どうして感染リスクが高くなる集団生活を強いられなければならないのか、これはある意味で生活保護申請を抑制させるための「水際作戦」と言える。

 10万円定額給付金の支給に多くの人が喜んだが、最も必要としている野宿生活をしている人、借金に追われながらも生き延びた人、仮放免中の外国人労働者など、住民登録できない人たちが10万円支給から排除されてしまった。コロナ災害に対する経済対策という本来の目的から考えれば、住民登録などしなくてもいいはずではないか。

 国は1回10万円を支給して、それで終わりにするつもりなのだろうか?首が切りやすい非正規雇用を増やして、労働者の生活を不安定にしているのは国の政策の誤りによるものである。コロナで失業した多くの人の生活を保障しなければならないが、失業手当は期間限定で不十分である。憲法に保障された最低生活の保障さえ、財源が無いと言ってやらないのに、憲法に違反する、戦争の準備には莫大な予算を投じてアメリカ製の武器を買い取ったり、沖縄県辺野古に新基地を建設しようとしている。税金の使い方が間違っている。

 横浜市は市民のカジノ反対の声が大多数になっているにも関わらず、貴重な市税と多くの人材を投入して、カジノ誘致を押し進めようとしている。コロナに罹って苦しんでいる人、コロナと最前線で向き合っている、医療や介護、そして区の福祉保健センターでコロナ対応を行う保健師たちの声が聞こえないのだろうか?カジノ誘致に回せるお金と人員があるのだったら、PCR検査をもっとやりやすいように自費検査に補助金を出したり、検査態勢を整えるための人員補充に使うべきだ。

 昨年に比べて自殺する人が増えて、特に女性の増加が目立っている。コロナ災害による失業や人的交流の減少も原因の一つと言われている。有名人の自殺報道は影響が大きいので、そのあり方も問われている。死にたくなる社会ではなく、生きていたいと思える社会にしていくためにはどうしたらいいだろうか。

 

 私たちは、生きづらくなってしまった人たちと出会い、おたがいに生きていたい、楽しいと思えるようになりたい。

 寿越冬では、連日炊き出しや相談活動が行われ、野宿している人と出会うためのパトロールに出かける。おなかが減って倒れそうな人には雑炊やカレーライスが命を救う食事になるかもしれない。どこに相談にいったらいいかわからない人には寿公園に来て話してみてくださいと言うことができる。冷たい路上で寝る人には、温かい心や毛布を届けられる。路上芝居を見て勇気をもらう人もいるだろう。生きづらくなっている人が増えている今、寿越冬は多くの人に必要とされる活動になるに違いない。

 こうした活動は同時に、人が集まることにもなるので、感染防止に十分注意しなければならない。飛沫が飛ばないようにマスクを着用したり、接触感染防止のために手をこまめにあらったりアルコールで消毒したり、体調が悪いときには活動を休んだり、基本的な対策は誰でも行うことができるので、心がけて実行していくことが必要だ。コロナの特徴の一つは無症状感染者がいることなので、自分自身もかかっているかもしれないと考えて行動することが求められる。そうした行動を他の人にも理解してほしいと思うが、感じ方もそれぞれなのでなかなか難しいかもしれない。感染を警戒するあまりに差別的な対応をしてしまう可能性もあることを自分自身の中で気をつけていきたいと思う。今回の越冬は、感染防止対策を取りながら、みんなの命をみんなで守る活動を行うことが大きなテーマとなる。

 

 いつになれば収束するのかわからないコロナ災害を乗り越えるためには、底辺から人が生きやすい社会にしていくしかない。寿越冬の一つ一つの活動があたたかい心で命を守る活動になっていくようにこの基調を提起する。

 

第47次寿越冬闘争勝利!

一人の野垂れ死にも許すことなく、最後まで越冬闘争をやり抜こう!